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清水寺の南西に位置する京都・東山七条。ゆったり流れる鴨川、京都国立博物館や三十三間堂もほど近いこのエリアに、1泊数十万円もするラグジュアリー・ホテル「フォーシーズンズホテル京都」がある。魅力は何と言っても、平清盛の嫡男・平重盛(1138~79年)の別邸「小松殿」の庭園として平安時代に作庭された池泉回遊式庭園「積翠園(しゃくすいえん)」があること。この場所にレストランが新設されたと聞き、おじゃましてきた。歴史を刻む庭とその庭を望む新店、伝統とモダンが入り混じるホテルの魅力をレポートしたい。

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“女坂”を上った先にある「フォーシーズンズホテル京都」

智積院(ちしゃくいん)と妙法院の間から東山三十六峰のひとつ阿弥陀ヶ峰へ延びる通称・女坂を上っていくと、ホテル入口に続く情緒ある竹垣のアプローチが見えてくる。エントランスでは、繊細な骨組みで作られたダイナミックな傘が出迎えてくれた。これは、日本古来の伝統を引き継ぐ “和傘”をモチーフにしたものだそう。

和傘からインスピレーションを得たエントランス

今回は名庭「積翠園」と東山十八峰を眺めることができる4階のホテル客室「フォーシーズンズルーム」にチェックイン。49平方メートル以上とあって広々とした空間だ。

バルコニーから「積翠園」を一望できる

和紙のシェードの照明や紅梅が描かれた壁面、京都・西陣織の老舗「細尾」が手がけたクッションカバーなど、和素材を組み合わせたモダンなインテリアが心地いい。

風情を感じる和テイストのインテリア

一息つこうとすると、四季の草花が描かれた清水焼の茶器と、おいしそうなティーセレクションが揃っていることに気づいた。独自の製法によるブレンド茶を展開する「SABOE(茶方薈)」の玉露や焙じ茶、和紅茶などが並び、多彩な種類からセレクトできるのがうれしい。茶菓子は伝統の京都銘菓として知られる「豆政」のおかきや「いとふ」のお麩ショコラが味わえる。

「SABOE(茶方薈)」の茶葉と清水焼の茶器

もとは国宝寺院「妙法院」の境内にあった「積翠園」

お茶を楽しんだら、早速、庭が見えるバルコニーへ。3000平方メートルの池が広がる池泉回遊式庭園を上から眺めるのは、何とも優雅な気分だ。東端の向こうには、北は比叡山から南は稲荷山まで続く東山連峰を望むことができる。

客室から望む「積翠園」
心地よい風に身を委ねつつ、バルコニーでティータイムを楽しむのもおすすめ

夕食までは「積翠園」を散歩してみた。宿泊以外でもレストランやラウンジの利用で、無料で入ることができるエリアだ。庭は、平安時代末期の平重盛の邸宅の園地がルーツとされているが、その後は隣接している国宝寺院「妙法院」の境内だった。

左脇には滝が流れる「積翠園」

1954年には専売公社(当時)が買い取り、長く管理していたが、後に所有者が変わった。その後、名庭とともにこの地が京都のランドマークになることを願い、2016年からは。同ホテルの一部になっている。

フィールド内には大小2つの島と数々の石組があることから、不老不死を希求した蓬莱思想に基づき、作庭されたことが明らかになっている。序盤には池を2つに分断する石橋が出現。古くからあったこの橋は、極力手を加えることなくさらに強化ガラスの橋を架けている。

庭には歴史を受け継ぐ石橋がかかる 画像提供:フォーシーズンズ・ホテル京都

庭の池の中には、大島と小島が浮かんでいるが、大島付近の5つの「夜泊石(よどまりいし)」は、見応えがあるのでじっくり鑑賞してみてほしい。これは蓬莱島へ仏薬財宝を求め、旅路を経た後、夜の海に停泊している舟の姿を表しているそうだ。にぎわいと繁栄の象徴であり、縁起がよいと言われる。

印象的な5つの「夜泊石」
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数寄屋造りの茶室...
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中村友美
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