銭湯のでかい湯舟に浸かってのびのびと疲れをいやし、湯上りには、ふらりと立ち寄ったお店で冷たいビールで一杯。そんな極楽時間をすごしたい方必見の「銭湯」と「ちょい飲み」をセットにしたスペシャル版を、おとなの週末覆面で調査。
新大久保からはじまったこの企画。西尾久、西小山、沼袋、森下と紹介したきましたが、今回はさらに「名物のある銭湯」を厳選。滝野川の『稲荷湯』にひきつづき、残暑厳しい今こそ、癒されてください!
大田区トップクラスの黒湯の濃さを楽しむ
蒲田駅西口からゆるゆる住宅街を歩いていると、遠くの方に高い煙突が見えてくる。黒地に白の3文字で『改正湯』。そう、大田区は東京23区最多の銭湯数を誇るエリア。駅の東西に30軒以上の公衆浴場があるのだが、”西の横綱”と称されているのがここ「改正湯」である。地元の銭湯文化を守るため日々奮闘中の4代目、小林千加史さんが教えてくれた。
「昔から煙突は風呂屋の顔でした。今は薪の使用が減って撤去する風潮ですが、うちは看板としてあえて残しています。大田区は古くから黒湯天然温泉が有名で、区内にある銭湯の3分の1以上が黒湯を提供しているんですよ」。これが「大田温泉郷」とも呼ばれる所以。中でもこちらはトップクラスの濃さで、そりゃもう手を入れると数cm先が見えないほど黒褐色だ。
その黒湯に炭酸泉を加えた独自の「黒湯炭酸泉」や珍しい黒湯の水風呂もあったりして温泉尽くし。そして湯船から目を上げると壁面に魚が……タイル絵?いやいや本物。以前は錦鯉を泳がせていたが、4代目が水族館をイメージして子供に人気の小鯉や金魚に変えたのだとか。
いやあ、約300匹がスイスイ泳ぐ姿に癒されながら自慢の黒湯を堪能すれば極楽も極楽。大概の悩みは忘れそうです。