取材先で体験した
トキメキワインはこれ!
このページは編集・戎 誠輝と武内慎司、そして企画ごとに担当してもらったライターの方に出ていただき、ワインな日々の感想を伺っていきます。
戎「へへへ、浮気ってしてみるもんですね!」
武内「はぁぁ? いつ? どこで? 誰と?」
戎「なんか変な想像してますけど、違いますから。ワインのことですから。僕、焼き鳥にはバイス(サワー)という組み合わせが多かったんですけど、覆面取材時は、もちろんワインで合わせるじゃないですか。そしたらこれが、ライターの池田さんも言っているように『肉の味を生かした焼き鳥に、白ワインや軽やかな赤がよく合う』んです! だから今は『バイス、ごめん』って感じになっちゃったんですよ」
武「その気持ちわかるな。和食にワイン? 日本男児なら日本酒でしょ!なんて思ってたし、そういう飲み方ばかりしてきたけど、ライターの菜々山さんとリサーチすると、店の方が言うようにドライで軽やかなロゼや、あっさりした自然派の赤ワインがよく合うんだ。それに日本酒よりもアルコール度数が低いから飲み疲れない気も。今じゃすっかり和食にもワインだもん。ただ料理との相性を考えてワインを揃えている和食店は、まだまだ少ない感じ。まぁ今は日本酒が流行っているし、和食店でワインにまで力を入れるのは難しいのかも。そういう意味ではワインにも日本酒にもこだわりを持っている『ル・ジャングレ』はすごかったな」
戎「ところで、中華やたこ焼きや餃子もロゼや自然派の赤がいいんですか?」
武「それは、中華×ワインを担当したライターの菜々山さんに聞いてみよう」
菜々山「中華といっても幅が広いんだけど、取材した『味坊』の羊の串焼き、『飲茶倶楽部』の点心のように味わいの濃いものには、ロゼだ赤だというより、濃厚さを和らげてくれるワインがバランスいいと思う。個人的には『味坊』のラム串とまろやかな渋みのある自然派の赤の組み合わせが忘れられない。料理もワインも次のひと口が待ち遠しくなるほど、すごく美味しかった」
武「餃子、たこ焼き、焼きとんは『オレはこの組み合わせが好きなんだ!』っていう店主のこだわりを楽しむ感じかな。たこ焼きの『8864』ならスパイシーなニュアンスがある赤。『餃子の花里』は『僕はこの組み合わせが好きなんです』ってことで重厚な赤を。『埼玉屋』にいたってはワインは1種のみ。でも『旨い! これはウチの焼きとんに合う!』と思ったから置いているだけとあって、本当美味しいんだよね。鮮度抜群の焼きとんの旨みや甘み、脂がワインでふんわりまろやかになる感じ。レモンサワーや生ホッピーが有名だけど、ぜひ一度赤ワインでも試してほしい。どこもB級ってくくられる料理だからこそ、ペアリングの妙に感動すると思うな」
ライター肥田木「いいなあ。私はみんなみたいに目からウロコ的な新しい感動はなかったかも」
戎「肉や魚をバルでなんて、定番の組み合わせで、ある意味しょうがないですよ」
武「でも覆面取材中、目がキラキラしてたじゃないですか」
肥「それはそうですよ。だって美味しいんだもん。“気軽に行ける”がキーワードなので、予算は高くてもひとり5000円で探したのね。それでも驚くくらい料理もワインも素敵で、贅沢な晩酌って感じなの。目もキラキラしますって。中でも『カルネジーオ』のローストビーフに『プレ ド ショウイン』のローストポーク、それに『アベス』の真サバのマリネなんて思い出すだけで、何杯でもワインが飲めそう」
武「ウナギの匂いでご飯が食べられるじゃないんですから」
戎「目がキラキラなら、松田さんもジビエで体験しましたよ」
ライター松田「そうね。肉の下処理が的確で臭みがなくやさしい味わいだから、果実味のあるワインをすすめる店が多かったし、実際、ペアリングは実に見事。猪と赤ワインなんて、どうして私はこの組み合わせを今まで食べてこなかったの⁉︎ って後悔するくらい美味しくて。次号でもう1回、『猪とワイン』なんて特集をやっていいほど!」
戎「わかります! 『焼ジビエ罠 炭打 中目黒』で食べた猪のモモ肉のやさしいけどギュッと旨みが詰まった味わいには感動しました!」
松「ふたりして『ウマーッ‼︎』と声をあげたくらい。チェーンのハンバーガー店でもメニューに出すくらいジビエも流行りつつあるし、リーズナブルにもなってきているので、ぜひ一度試してみてほしい。ぜひ猪仲間に加わってほしいわ」
ライター市村「…………」
戎「って、あれ、どうしたんですか、市村さん?」
市村「………(涙ポロリ)」
武「はっ! 松田さん、もうその辺で大丈夫です」
安くて美味しいからこそ
好みのものを探したい
松「なんで? まだ猪肉の魅力、ワインとの相性の話が……」
市村「……いいんです。私も確かに面白かったし、味についていろんな表現を聞くことができて楽しかったし、美味しいものも見つけました」
松「だったら泣くことなん…」
市「『覆面試飲会』には食事がなかったんです……口直しのパンはありましたけど……」
松・肥・菜「ったく、気が利かない男たちだなあ」
武「すいません! 覆面試飲会には僕も参加してたんですが、1000円未満でも十分美味しいってことに感動し過ぎてしまって……」
市「もういいです……でも、本当にそうなんです! スーパーやコンビニのワインだからって侮っちゃいけないんです。造り手の哲学が反映された味わいで、どうしてこれがこの価格なのと目を疑うものも多いんですから(キリッ)」
武「コスパのいい新世界だけじゃなく、フランスやイタリアのものもあれば、味の幅も広く用意されている。何本か試せばきっと自分好みの1本が見つけられるはず」
市「というか、好みの味を探す楽しさがあると思いました。ただ単体ではなくて、ジューシーなローストビーフとは言わない。せめてトリュフの入った餃子や熱々のたこ焼きとの相性を確認してみたかった……」
戎「……えっと、ちょっと話題を変えます。いろいろ飲んでみて、ワインに対する考えって変わりましたか? 僕は変わりました。外飲みならイタリアンやフレンチに行ってとか、家飲みならチーズや生ハムに合わせてという固定観念がありました。でも、焼き鳥のようなカジュアルな料理に合うこと合うこと!塩焼きにフルーティな白を合わせれば、鶏肉に柑橘を搾ったようなスッキリした後味になるし。赤至上主義だったんですが、いつしか白の虜に。新たな世界が広がりました!」
菜「ワインは難しい。そんなイメージがあったんだ。品種は多いし、名前もカタカナで覚えづらいし。でも、好みのものを伝えればいい、覚えなくていいっていうのはラクだなぁ(笑)」
肥「そうそう! その店のイチオシ料理を食べるなら、貧相な知識しかないのにカッコつけて自分の好みを押し通すより、店のおすすめに身を委ねればトキメキが待ってるもんね」
市「それに安くて美味しいワインもいっぱいです。1本1000円未満なら、品種や国による違いを家で試してみてもいいですよね。飲み切れなければ料理酒にしてもいいですし」
武「結局、ワインを難しくしているのは自分たちなんですよね。品種や国、造られ方の違いももちろん知っておいた方がいい。でもそれは一番ではないハズ」
戎「一番はもっと気軽に気負わず、自分好みに楽しむこと。覆面取材を通じて変な固定概念がなくなったからこそ、それがよくわかります。晩酌はワイン。今晩からはこれですよ!」
女性陣「なんか生意気~!」
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