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比叡山を借景にした枯滝がダイナミックな「雪の庭」

歌人として連歌を学んだのち、俳諧という新たな分野を開拓した文学者でもある松永貞徳。時の住職が貞徳の門下であった縁から寺町二条の妙満寺・成就院に「雪の庭」が造られ、この庭を前にして「雪の会」という初の俳諧興行を催したという逸話が遺されています。

京都市の北に位置し、市内より気温も低い岩倉の地。雪化粧で陰翳をつけた「雪の庭」の静謐さは圧巻だ。庭に雪がない時でも、冠雪の比叡山のから流れる水脈を感じさせる枯滝が美しい

いわば俳句発祥の地でもある「雪の庭」は、遠く向こうにそびえる比叡山を借景にした造りで、黒く大きな石を使った枯山水が魅力です。枯滝の石組みとその下に敷かれた青みを帯びた石の枯池に比叡山からの水脈が通じる見立て、庭と本坊が一体となる「庭屋一如」という世界観でダイナミックな景色を見せてくれます。名の通り雪化粧の庭が見られたら最高ですが、そうでなくても冠雪の白い比叡山に続く景色は今の季節ならではの美しさです。

かつては「寺町二条の妙満寺」の呼び名通り京都中心部にあったが、1968(昭和43)年に、岩倉に移転。塔頭・成就院にあった庭の石組はそのまま本坊に移され、2022年に大規模改修を終えた
妙満寺の山門前は、鯉の泳ぐ池のまわりに緑もいっぱい。5月にはツツジ、7月には半夏生(はんげしょう)が花を咲かせ、門前が華やぐ
豊かな自然に囲まれた妙満寺は、インドのブッダガヤ大塔を模した仏舎利大塔でも知られる。本堂背後の裏山では荒れた山を再生する「妙満寺の森」プロジェクトが計画されている

清水寺で東山の月に思いを馳せ、妙満寺で遠く比叡の雪を仰ぎ、北野天満宮で梅の花を愛でる。歴史を紐解いて失われていた文化遺産が蘇る。令和の京都に新たな魅力が加わります。

北野天満宮
[住所]京都市上京区馬喰町
[公開期間]梅苑「花の庭」2023年1月28日(水)〜3月下旬(開花状況で閉苑日を決定)
[受付時間]9時~16時(閉苑)受付終了15時40分
[ライトアップ期間]2月24日(金)~3月19日(日)の毎週末(金・土・日)
[点燈時間]日没~20時(閉苑)受付終了19時40分
[入苑料]大人(中学生以上)1200円、小人(小学生)600円 ※茶菓子付き

清水寺 成就院
[住所]東山区清水1丁目
[公開期間]2023年2月1日(水)~3月19日(日)10時~16時半(16時受付終了)※2月22日(水)、23日(木・祝)は拝観休止 
[成就院拝観料]600円

妙満寺
[住所]京都府京都市左京区岩倉幡枝町91
[拝観時間]本坊(本堂~雪の庭~展示室)9時~16時(受付終了)境内6時~17時
[拝観料]本坊(本堂~雪の庭~展示室)大人500円、小・中学生350円(※4/1より大人600円 小中学生300円に改定)

編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/児玉晴希

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