味蕾にグルタミン酸受容体
うま味が提唱された後も、長い間その存在は科学的に立証されていませんでした。欧米の多くの学者はうま味の存在に懐疑的で、塩味や甘味がほどよく調和した味覚に過ぎないと考えていました。しかし2000年に、マイアミ大学の研究チームが、舌の味蕾(みらい)に、グルタミン酸受容体があることを発見し、これにより、人間がうま味を感知していることが立証されました。こうしてうま味が基本味として認知されるようになったのです。
一方、「辛味」を感じるのは、舌の表面にある味蕾ではなく、舌の奥深くの三叉神経の神経細胞です。脳は辛味を味としてではなく、「痛み」として感じているのです。
また、柿やお茶などに感じる「渋味」も、味覚ではなく、痛みや触感に近い感覚だと考えられています。
なお、辛味も渋味も、「味」という字は当て字で、本来は形容詞語幹に接尾語「み」がついて名詞化した「辛み」「渋み」です。つまり文字の上でも本来は「味」ではないのです。
(参考)
[1] 日本うま味調味料協会
https://www.umamikyo.gr.jp/
[2] うま味発見から商品化への軌跡-池田菊苗物語(味の素グループ)
https://story.ajinomoto.co.jp/history/020.html