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リンゴの皮剥きができたのは3人だけ

美智子さまは、清子さまに米のとぎ方、炊飯器の使い方、薩摩汁やフルーツポンチの作り方などを教えられた。清子さまはめきめきと料理の腕をあげられた。

初等科のころには、リンゴの皮剥きができたのはクラスで清子さまを含めた3人だけだった。先生が驚いて、「どなたに教わったの?」と聞かれると、清子さまは「お母さまに教えていただきました」と答えられたという。やがてご自分のお弁当まで作られるようになった。

なかでも得意なのは、お菓子作り。清子さまが焼かれたクッキーをおじいさまである昭和天皇のもとにお届けすると、たいそう喜ばれたという。

皇太子妃として忙しい毎日を送る美智子さまは、愛娘が傍にいることでどれだけ心が慰められたことだろう。「料理を教える」という名目のもと、キッチンの中で母娘が料理をしながら楽しそうに微笑みあっている光景が目に浮かんでくる。

皇居 巽櫓

文・写真/高木香織
イラスト/片塩広子

参考文献/『皇后さまと子どもたち』(宮内庁侍従職監修、毎日新聞社)、『美智子さま「こころの旅路」』(渡辺みどり著、大和書房)、『美智子皇后「みのりの秋(とき)」』(渡辺みどり著、文春文庫)、『殿下の料理番 皇太子ご夫妻にお仕えして』(渡辺誠著、小学館文庫)

高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから真子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、カレンダー『永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

片塩広子
かたしお・ひろこ。日本画家・イラストレーター。早稲田大学、桑沢デザイン研究所卒業。院展に3度入選。書籍のカバー画、雑誌の挿画などを数多く手掛ける。

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