「日本で最初の厄除け霊場」岡寺の日本三大仏の1つ
長谷寺を後にして向かったのは、「日本で最初の厄除け霊場」として知られる岡寺。長谷寺から南西に約15km、車で30分ほどの明日香村岡にある。
正式名は『龍蓋寺(りゅうがいじ)』。その名は人々を苦しませていた龍を義淵僧正が退治して、寺の池に閉じ込めたという伝承が由来とか。その後、龍は改心して今でも池に眠るといわれる。
633年に天智天皇により草壁皇子とともに養育された義淵(ぎえん)僧正が皇子の住まいがあった岡宮の跡地に建立したことから、岡にあるお寺=岡寺と親しみを込めて呼ばれている。
岡寺の境内には約3000株もの石楠花が植えられていて、毎年4月半ばから5月のゴールデンウイーク(GW)にかけて咲いて境内を鮮やかなピンク色に彩る。また、仁王門から入ってすぐの手水舎の水面に花を浮かべる「花手水」も有名。実際に目の当たりにすると、あまりにもキレイで、ここで撮った写真をSNSへ投稿したくなる気持ちがよくわかる。GWには境内にある池に天竺牡丹(ダリア)を浮かべて参拝客を出迎えてくれるとか。
岡寺の本堂に祀られている本尊は4.85メートルの如意輪観音坐像(にょいりんかんのんざぞう)。塑像(土でできた仏像)としては日本最大で、銅像の東大寺の大仏と木像の長谷寺の十一面観音とともに日本三大仏の1つに数えられている。
弘法大師が仏教伝来の日本と中国、インドの三国の土でこの像を造られたといわれる。
「今では色彩が剥離して全身真っ白な姿になってしまっていますが、頭髪や瞼の部分をよく見ると、わずかながら色彩が残っています。そこから造立当時の華やかな装飾を想像できます」と、副住職の川俣海雄さん。
仏教も仏像も門外漢の筆者でもこの迫力というか、発しているオーラに圧倒される。古来より現代に至るまで多くの人々から信仰を集めているのも十分頷ける。
倭鴨(やまとがも)鍋と〆の蕎麦で“大満腹”
さて、ここで少し別の話題を。今回の奈良の旅で筆者が泊まったのは、近鉄大阪線・橿原線大和八木駅前の『カンデオホテルズ奈良橿原』。橿原市に位置する香具山(かぐやま)と畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)の大和三山を望む最上階のスカイスパは、旅の疲れを癒やすには最高。
で、この日はホテル近くの居酒屋『八向(やこう)』で夕食を摂った。ここは「春夏は焼きもの、秋冬は鍋」がコンセプト。筆者が訪れた3月中旬は倭鴨(やまとがも)の鍋がメインのコース。倭鴨は奈良県御所市の葛城山麓で飼育された合鴨肉だ。
「鴨肉はあまり煮込みすぎるとかたくなってしまうので、鍋にくぐらせて色が変わったところでお召し上がりください」と、店員さん。
鴨肉特有のくさみはまったくなく、とてもやわらかい。噛むごとに芳醇な旨味が口の中に広がる。ネギは言うまでもなく、白菜や椎茸、揚げなどの具材との相性も良い。
圧巻だったのは、鴨肉や野菜の旨味が溶け出したつゆでいただく〆の蕎麦だ。こんなの、美味しいに決まっている。大満腹の大満足で店を後にした。