うっとりする甘みと香り、千川『一久』
どの駅からも歩いて十数分。住宅街のど真ん中に、近隣から長年愛される蕎麦屋がある。
その理由は単純明快、蕎麦の味。信州の畑で自家栽培した蕎麦粉と北海道・幌加内産を季節に合わせて配合を変え、さらに店主が汲みに行く伊豆の湧水で打った蕎麦はうっとりとするほど甘みと香りに満ちていた。
ツユをぶっかけ、豪快に混ぜて食せば、明太子のコクや薬味の食感、川海苔の爽やかな風味が織りなす見事な調和に舌を巻くはず。また、スタミナをつけるなら豚角煮を乗せ、茹でモヤシをアクセントにした「織部そば」に行くって手もあり。この蕎麦たちに出合えるならば、駅からの距離も苦ではない。
正統派のせいろで味わうのも良いけれど、毎年7月から始まる「明太おろしそば」に手を伸ばしてみては?