扱いやすいサイズ
初代ステップワゴンのボディサイズは、全長4605×全幅1695×全高1845mm。現行のステップワゴン全長4830×全幅1750×全高1840mmだからそれほど大差ない。全幅こそ1700mmを超えてしまったが、日本車が続々と大型化されるなか、2LクラスBOXタイプミニバンは、今でも使いやすいサイズにこだわって大型化を最小限にとどめている。これが長年ヒットを続けている大きな要因となっているのは間違いない。
デザインは見てのとおり武骨なまでの四角さが最大の特徴だ。しかしこの四角いボディゆえにクルマの四隅が掴みやすく、これが運転のしやすさにつながる。デビュー当初、オデッセイなどに比べて背が高いため運転しづらいとBOXタイプミニバンは奥様方が敬遠しがち、という意見もあったが、実際には全幅は5ナンバーで車両感覚が掴みやすいとファミリー層から支持を受けるに至っている。当時のホンダディーラーマンの間では、『ステップワゴンは一度試乗させれば勝ち』というのが合言葉になっていたほどだ。
走って楽しい新しい世界
初代ステップワゴンはホンダを救うヒットモデルとなったが、走りのよさも無視できない要素だ。これは歴代ステップワゴンに踏襲されるコンセプトで、ライバルのセレナ、ノア/ヴォクシーに対しても軽快なハンドリングが魅力となっている。初代ステップワゴンは、2L、直4DOHCエンジンを搭載。最高出力は125ps、最大トルクは18.5kgmと特筆するようなスペックはないが、ホンダエンジン特有のスムーズで軽い吹け上がりなど、エンジンフィールの気持ちよさが走りの軽快感にも大きく影響している。
長年スポーツカーなどに乗ってきた走り好きにとって、「家族のためにミニバンに乗る」ことは「走りから足を洗う」というカーライフの墓場的な意味にとらえられがちだったが、走って楽しいステップワゴンが新たな世界を提供してくれたのだ。
5人乗り仕様と8人乗り仕様を設定
当時のミニバンといえばシートアレンジ。シートアレンジのバリエーションの多さを競ったものだ。それは初代ステップワゴンも同じ。フルフラット、ウォークスルー、助手席の回転対座などなど、現代のミニバン以上の多機能シートがウリだった。フルフラットなど買ってから何度かしかやったことなくても、フルフラットになることが重要だった。
ステップワゴンには2列シート5人乗り仕様(2-3)と3列シート8人乗り(2-3-3)を設定していた。販売のほとんどは8人乗りだったが、3列目シートが不要でワゴン的に使う人、商用車的に荷物を大量に積みたい人にとって5人乗り仕様は重宝した。ただし、3列目シートは跳ね上げ式収納だったため、たためば自転車を搭載できるだけのスペースを確保することができた。