「ラーメンは小銭で食べられるもの」
いやいや、このご時世で値上げは当然、上げてください。地元になくてはならない店を、長く続けてもらうためにも。
「ラーメンは小銭で食べられるもの」。佳代子さんの夫で昨年亡くなった2代目の昭司さんがいつも口にしていた言葉だ。だから「安くて旨い味を」と初代から受け継いだ店を家族で踏ん張って守っている。
「ここは学生街だし、毎日の食事のことだから1杯900円や1000円なんて取れないの(笑)」。
たまに食の細い年配客が安い半チャーハンだけ注文することもあるそうだが、嫌な顔ひとつしない。むしろ太陽のように明るい笑顔で迎えてくれる。何て気持ちのいい女将さんなんだろう。
一方、3代目の大輔さんは超が付くほど真面目で仕事熱心。父の味を忠実に守り、すべての料理をひとりで作っている。大らかな接客の母、寡黙な職人の息子、家族の連携プレーが今の『伊峡』の魅力だ。