外観のイメージを覆す、モダンで洗練された空間へ
暖簾をくぐり、宿に一歩足を踏み入れると、真っ白な洞窟のようなエントランスが現れる。壁には地元アーティストが手がけたアート作品が飾られており、ノスタルジックな外観の雰囲気とは一線を画す、モダンで洗練された空間に驚く。
チェックインは階段を上がり、大正時代の意匠を残した空間が広がる2階の広間で行う。昔の梁や欄間が残されたこの部屋には、大きな窓があり、若草山を間近に望むことができる。春になれば一面に咲き誇る桜、秋になると紅葉も見える。何とも贅沢な空間だ。
22時まで自由に利用できるこちらでは、コーヒーや紅茶に加えて、スパークリングワインやビールも好きなだけ楽しむことができる。
さらに1月は奈良の伝統行事である大迫力の「若草山焼き」の鑑賞も可能だ。
しばらくすると、季節によって入れ替わるウェルカムドリンクの紅茶とスイーツが登場。もちもち食感が病みつきになる自家製の「三笠焼き」には、薪火でスモークしたクリームがたっぷり挟まれており、スモーキーでコクのある味わいに思わずうっとりしてしまう。
火・水・土・風・木、自然を構成する5つの要素がテーマの客室
客室は宿が大切にしている自然を構成する5つの要素、火(ignis)・水(aqua)・土(solo)・風(ventus)・木(lignum)をコンセプトに展開している。この日は、春日山の原始林を流れる“うぐいすの滝”の様な清涼感のある空間をイメージした「水(aqua)」に宿泊させてもらった。
実は料理だけでなく、客室の家具にも堀田シェフのセンスが反映されている。インテリアは、シェフが尊敬する20世紀アメリカを代表する女性画家、ジョージア・オキーフ(1887~1986年)の自宅がモチーフになっているそうだ。