発売されなかった幻のセリカ
7代目セリカには数台の発売されなかった幻のモデルがある。そのうちの2台を紹介しておきたい。
1台目はアルティメットセリカ。GT-FOURの不在を嘆く声が高かったなか、トヨタ車でパイクスピークに参戦していたこともあり関係の深いロッド・ミレン氏率いるロッド・ミレン・モータースポーツとTRDが共同で開発したのがアルティメットセリカで、500psの4WDスポーツとして開発が進められていた。F1マシンのフロントウイングを組み込んだようなフロントマスクが印象的な一台だったが、市販されることはなかった。
もう一台はセリカコンバーチブル。6代目セリカにコンバーチブルが設定されていたため、市販化に期待がかかった。しかも6代目のコンバーチブルよりも明らかにカッコいい。しかしこちらもお蔵入り。コンバーチブルは数が出るクルマではないため開発費をペイするのが難しいし、セリカの販売アップには貢献しないというのがお蔵入りの理由だ。今のイケイケ状態のトヨタなら絶対に市販していたはず。残念な一台だ。
買い得感の高い価格設定
7代目セリカはデビュー時に一番安いSS-1(5MT)が168万、一番高いSS-IIのスーパーストラットパッケージ(4AT)でも226万4000円とライバルに比べてかなりリーズナブルな価格設定だった。今考えると羨ましくなるほど安いわけだが、販売面で苦戦が続いた。
その理由のひとつは、若者のクルマ離れ。1980年代、1990年代初頭は若者にとって人生を楽しむアイテムの最上位にクルマが位置していたが、徐々にクルマのポジションが下がってきたのが1990年代の後半。これはセリカのような2ドアクーペだけでなく、セダン系の衰退も激しかった。しかし、時代的な要因だけではない。
ライバルに対し特別感がなかった
7代目セリカのライバルは日産シルビア、ホンダインテグラ&インテグラタイプRだったが、セリカが最も影が薄いのは否定できない事実。重要なのはここなのだ。FR(後輪駆動)という絶対的な魅力を持ったシルビア、タイプRという究極のFF(前輪駆動)という突き抜けた魅力を持ったインテグラタイプRに対し、クルマ好きへの訴求力で劣っていた。前衛的なデザイン、優れた走りのFFというだけでは弱かった。前述の4~6代目までにあったGT-FOURがないのも大きく響いた。ライバルとの関係を考えると、セリカGT-FOURはライバルにないスペシャルな魅力となっていた。芸能人は容姿がいいだけでは売れないと言われるがクルマも同じ。7代目セリカを見ればそれを痛感する。





