×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

ランチのあとは軽便鉄道博物館へ

阿下喜駅に到着したとき、駅のとなりで何かイベントのようなものをやっているのが気になっていた。ランチを済ませて早速向かってみた。ミニ電車が周回するように家族連れを乗せて走っている。自らペダルを漕いでレールの上を走る軌道自転車風のトロッコの姿も。ここは、個性的な小さな博物館「軽便鉄道博物館」だった。

阿下喜駅に隣接して設けられたこの施設は、「ナローゲージ」の鉄道を今に伝える伝承館だ。運営を行っているのは、北勢線の存続運動を展開してきた「阿下喜駅を残す会」と「北勢軽便鉄道をよみがえらせる会」が、北勢線開通90周年を機会に、沿線の市町を活性化する目的で合体し、結成された組織だという。会の名は、「ASITA(北勢線とまし育みを考える会)」。ASITAとは、Association of Sustainable Incubation and Town Abilityの頭文字で、そのまま「あした(明日)」と読むそうだ。博物館の運営は、この会のボランティアによって行われている。

館内や館外には、実物の旧北勢線ナローゲージ車両や現役当時を写した写真パネルなど、貴重な資料が展示されていた。開館日は、毎月第1と第3日曜日(1月のみ第2と第3日曜日)のみで、開館時間は10時~16時とのことだった。入館料は「無料」で、“ミニ電車”などの遊具への乗車も無料だ。屋外に展示してあるナローゲージの電車は、220系モニ226形という1982(昭和57)年まで北勢線で実際に活躍していた車両だ。以前は、四日市スポーツランド(三重県四日市市)で保存・展示されていたが、2007(平成19)年にこの地へ移設されてきたものだ。

館内では、三重県内を走っていた軽便鉄道(ナローゲージ)の歴史を紹介するパネルや、北勢線の100年間にわたる貴重な資料のほか、鉄道模型などが展示されていた。特に三重県内には、北勢線の前身となる北勢鉄道をはじめ、四日市、三重、安濃、中勢(現在の近鉄名古屋線の一部)、松阪と合計6つの軽便鉄道が走っていたことを紹介するパネル展示は、見ごたえがあった。

このほか、博物館のはずれというか駅に近い場所には、阿下喜駅の建替工事の際に発掘された転車台(ターンテーブル)が、復元のうえ展示されているのも興味深かった。これはその昔、駅の北側にあった製材所から材木を積み込んだ貨車を本線に据え付けるのに使用していたのだとか。発掘後、三岐鉄道の社員有志によって復元作業が行われ、いまの展示に至ったという。

【施設情報】「軽便鉄道博物館」、住所/三岐鉄道北勢線・阿下喜駅隣接〔事務局/いなべ市北勢町阿下喜2000番地〕、電話(問い合わせ)/0594-72-2478〔安藤建材店〕、入館料/無料、開館日/毎月第1・第3日曜日(1月のみ第2・第3日曜日)、開館時間/10時~16時

三岐鉄道・北勢線の終点、阿下喜駅。軽便鉄道額物館は、駅の裏手にある=2026年9月6日、三重県いなべ市
イラストでわかりやすく軽便鉄道博物館(北勢線の小さな博物館)のことが書かれている案内リーフレットより=資料提供/軽便鉄道博物館〔イラスト/しづみ つるぎ〕
屋外で保存・展示される昔の北勢線で活躍していた電車(220系モニ226形)=2026年9月6日、三重県いなべ市
この建物のなかでは、三重県内を走っていた軽便鉄道(ナローゲージ)の歴史を紹介するパネルや、北勢線の100年間にわたる貴重な資料のほか、鉄道模型などが展示される。軽便鉄道博物館で=2026年9月6日、三重県いなべ市
三重県を走っていた軽便鉄道が6路線もあったことを紹介する展示パネル。軽便鉄道博物館で=2026年9月6日、三重県いなべ市
来館者が無料で体験乗車することができるミニチュア電車「ミニ電ホクさん」。左は保存車220系226号を模した車両で、右は北勢線の旧塗装を身にまとった200系(K77編成)を模した車両。軽便鉄道博物館で=2026年9月6日、三重県いなべ市
駅舎の立替工事の際に“発掘”された転車台(ターンテーブル)は、阿下喜駅に隣接するように保存・展示されている=2026年9月6日、三重県いなべ市

乗ったことのない電車に揺られて、知らない街へ行ってみるのも小旅行の醍醐味というもの。足の向くまま、気の向くままに、次はどこへ行こうか。そんな旅へでかけてみてはいかがだろうか。

※取材協力/鉄道友の会・東京支部

icon-gallery

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、NPS会員、鉄道友の会会員。

icon-prev 1 2 3 4 5
関連記事
あなたにおすすめ

関連キーワード

この記事のライター

工藤直通
工藤直通

工藤直通

「Premium YEBISU × 飯田商店 SPECIAL COLLABORATION 2026」イベント関連の詳細はこちら

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌『おとなの週末』。2026年9月15日発売の10月号では、「焼酎…