旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■臭い!?
正解:パクチー
難易度:★★★☆☆
コリアンダーとも呼ばれます
パクチーは、地中海沿岸原産のセリ科の一年草で、独特の強い香りが特徴の香味野菜です。
エスニック料理には欠かせない存在で、葉や茎、根、種子まで、すべて食用とすることができます。
旬は、地域や栽培環境によって多少異なりますが、日本ではおもに春(3月~5月)と秋(9月~11月)とされています。
タイ語の「パクチー」が日本では定着していますが、英語では「コリアンダー」、中国では「香菜(シャンツァイ)」、ベトナムでは「ザウムイ」、インドでは「ダニヤ」と呼ばれます。
実(種子)の「コリアンダーシード」はスパイスとして使われます。
茎は葉より香りが強く、タイ料理では根もスープの出汁やペーストに使われます。東南アジアや日本では生のパクチーが主流ですが、中南米や中東では生食よりも乾燥した葉やシードのほうがポピュラーです。
独特の強い香りゆえ、好みが大きく分かれる野菜です。
じつは、パクチーを「カメムシのような匂い」と嫌う人がいるのは遺伝的要因といわれています。OR6A2と呼ばれる、臭い分子を検知するための遺伝子を持つ人はパクチーを不快に感じやすいらしいのです。
とくに、この遺伝子に特定の変異がある人は、パクチーの香りを「石鹸」や「カメムシ臭」として感じやすいとか。
日本人の多くがOR6A2を持っているという情報もありますが、日本人でこの遺伝子を持つのは多くても約10~20%程度程度と推定されていて、日本人にパクチー嫌いが多い原因は遺伝子ではなく、パクチーを食べ慣れていないことが大きいといわれています。
じつは、ヨーロッパでも香りが強すぎる感じる人が多く、生食することは少ないようです。実際、フレンチやイタリアンでは、コリアンダーシードはよく使用されるスパイスですが、生のパクチーを使うレシピは一般的ではありません。
ただし、イギリスにはインド系移民が多く、カレー文化が根づいているため、生のパクチーを使う機会が比較的多い国といわれています。
生のパクチーが欠かせないのは東南アジア料理です。ときには、料理の一部ではなく、主役になることも。
たとえば、タイでは、ヤムウンセン(春雨サラダ)やトムヤムクン(スープ)にトッピングとして頻繁に使われます。茎や根は炒め物やカレーペーストの香りづけに使われます。
ベトナムでは、生春巻きやフォー、バインミーなどの料理で、葉をそのまま添えるのが定番です。