猪に鹿、そして穴熊も! 里山ならではのジビエ鍋を味わう、食の冒険 界といえばその土地ならではの食材や食文化を取り入れた特別会席料理も自慢のひとつ。界 由布院で味わえるのは野山の恵みを堪能するジビエ料理。先付は猪と椎茸の最…
画像ギャラリー春は冒険の季節! 木々が芽吹くこの時期は、今まで体験したことのない旅に挑みたくなる! そこで九州を横断する春の温泉旅を企画してみた。空路で大分へ入り、別府、由布院の温泉街を散策。そこから阿蘇へと向かい、カルデラの大自然に圧倒され、熊本からはフェリーで雲仙へ。最後は長崎から帰路につく、というプランだ。西から東へと九州を横断する。ドライブが楽しいルートなので、レンタカーで横断するのもいいが、公共の交通機関で巡ることもできる。観光列車の多い九州では列車の旅もおすすめだし、バスのルートも充実している。またプライベートツアー感覚でタクシーをチャーターするのもいいだろう。景色や文化が次々と移り変わり、ロードムービーの主人公になった気分に浸れる。今回は星野リゾートが全国22か所に展開する温泉旅館、「界」を巡り、一足早く、春の九州を楽しんだ。
街歩きや外湯めぐりも楽しいTHE温泉街、別府をモダンにアレンジ
大分空港に到着し、バスで別府の北浜に向かう。別府の中心地となるこのエリアは湯けむりが立ち上る風情ある温泉街。北浜のバス停から歩いて1、2分の距離にあるのが界 別府だ。
別府の温泉街の中心地というロケーション。竹瓦温泉や駅前高等温泉など、特色のある公共浴場も徒歩圏内にあり、外湯巡りも楽しめるので、ぜひとも余裕をもって到着したい。界 別府のコンセプトは「ドラマティック温泉街に逗留する宿」。全ての窓から別府湾を見渡せるオーシャンビューだ。
海に面している界 別府のお湯は、塩分を多く含み、体が芯から温まる。源泉数・涌出量日本一で、泉質や歴史の異なる八か所の温泉郷がある地域なので、地獄めぐりなど泉質の多彩さを感じるのもいいだろう。
もし、その余裕がなくても大丈夫! 施設内の湯の広場や夜店をイメージしたラボでは海地獄や血の池地獄をイメージしたドリンクを試せる「地獄巡りバー」、昭和レトロなピンボールや別府八湯輪投げ、型抜きなどの縁日体験などで盛り上がれる。
これらの斬新なデザインは世界的な建築家・隈研吾氏が担当。施設内をそぞろ歩きするだけで、ドラマチックな別府温泉を体感できるのだ。
由布岳と棚田のランドスケープが主役の「界 由布院」
そして別府駅から列車やバスで約1時間、運がよければゆふいんの森などの観光列車にも乗れる路線で由布院駅へ。ちょうどクルーズ列車・ななつ星とデザートトレイン・或る列車、九州を横断する特急ゆふが同時に停車し、鉄好きにはたまらない光景も拝めた。改札が開放的なので撮影しやすいのもうれしいいポイント。教会をイメージしたという駅舎や離接した観光案内センターやライブラリーもこの駅の見どころのひとつだ。
駅前には歴史を感じる街並みが広がる。由布院は温泉街には珍しく歓楽街がなく、景観が守られ、コンビニの看板もシックな茶色で統一されている。そのあたりも女性客に人気が高い由縁だ。「界 由布院」は駅から車で10分ほど。駅までタクシーで送迎してくれる。
界 由布院のコンセプトは「棚田暦で憩う宿」。界 別府同様、国立競技場を手掛けたことでも知られる隈研吾氏が設計し、棚田のランドスケープを主役としたデザインに仕上げた。
稲刈り後の藁こづみは冬ならではの風景で、田んぼを休ませるこの時期は夜のライトアップも開催される。大分という地名が「大いなる田」に由来するということにも、納得。四季折々の棚田の風景を楽しめるのだ。
宿の中心には棚田が広がり、3月末になると棚田は緑一色となるという。田植え時には水を張られ、水鏡のように青空夕焼けを映しだす。秋は稲穂に包まれ棚田前面が金色に!
客室は棚田ビューの客室20室、露天風呂付客室20室、個性のある離れ5室という構成。いずれも大分が誇る竹細工を生かした設えや、竹かご照明などでデザインされたご当地部屋。
棚田離れには棚田が一望できるピクチャーウィンドウが。我々が滞在したくぬぎ離れにはくぬぎの木々に囲まれた露天風呂とテラスがあり、自分たちだけで過ごしているような静けさだった。隣はドッグランがついた愛犬と過ごせる離れ。滞在中、まったく気配を感じないほどプライベートが守られる空間だった。
圧巻なのは大浴場だ。四季折々の花や紅葉で彩られる由布岳を拝みながら、源泉かけ流しの絶景パノラマ風呂を楽しめる。露天風呂には寝湯もあり、由布院の泉質は化粧品成分に用いられるメタけい酸を豊富に含むため、美肌効果も期待できる。低刺激の優しい温泉なので、景色を楽しみながらゆったりと湯浴みができた。
猪に鹿、そして穴熊も! 里山ならではのジビエ鍋を味わう、食の冒険
界といえばその土地ならではの食材や食文化を取り入れた特別会席料理も自慢のひとつ。界 由布院で味わえるのは野山の恵みを堪能するジビエ料理。先付は猪と椎茸の最中パテ。かぼすドレッシングをかけたクレソンサラダとともに食すと爽やかな味わいに。また八寸、お造り、酢の物を大分特産の竹をあしらった宝楽盛りが。酒飲みにとってはちょこちょこつまめるこの宝楽盛りが非常にうれしい。
メインは山のももんじ鍋。こちらは猪、鹿、穴熊、そして牛を木の実たれ、太白ごま油フルーツ甘煮、かぼすおろし、黄身醤油などのそれぞれにあったたれでいただく。
穴熊って食べられるの?と恐る恐る脂がたっぷりの赤肉を口にしてみたが、今までに食べたことのあるどの肉とも違った濃厚さだった。滋養たっぷりで内から力がふつふつとわいてくる感じ。山の力だ。朝食は棚田を眺めながら野菜や豚の角煮の炭火焼きを楽しむ。界 由布院では洋食も選べ、こちらはベーコンやソーセージを炭火でこんがりと焼く。
朝風呂と朝食で英気を養ったところで、次の目的地、阿蘇へと出発。
画像ギャラリー