今旅で行きたかったビアバーへ
そして、この旅で行っておきたかった「PASTEUR STREET BREWING(パスツールストリートブリューイング)」のビアバーへ向かった。こちらのブルワリーは、東南アジア初のクラフトビール醸造所。日本でもこの2024年の春、輸入がはじまり、缶ビールが入ってきている。でも、まだ飲んだことがなかったので、この機会に飲むことに。
直営のビアバーは、地元のホーチミンはもちろん、ここハノイにも展開。旧市街のランドマークともいえるハノイ大教会の脇に入る路地にある。ビアフライトもあったが、時間の都合上、2杯、しかも一番小さいサイズで飲むことにした。
まずは「Passion Fruit Wheat Ale(パッションフルーツ ウィートエール)」。パッションフルーツの香りがガツンと鼻を抜ける。パッションフルーツ好きとしてはたまらない味だ。
以前、韓国の「ソウルブルワリー」が、静岡の「WestCoast Brewing(ウエストコーストブルーイング)」と宮城の「Black Tide Brewing(ブラックタイドブルーイング)」とのコラボレーションで出したパッションフルーツのビール「City of Passion」を飲んだことがあったが、そちらの方がパッションフルーツは鮮烈だったものの、そちらはフルーツゴーゼ。こちらはウィートエールらしい小麦の風味でスッキリと飲めた。
もう1杯はシーズナルのビール「Bia Quan Quyt」。ヒューガルデン・ホワイトを思わせる味で、副原料に使われているタンジェリンのライトな柑橘感が、レモンピールのようなアクセントになっている。おいしい!
ここでも、もうちょっと飲みたいという衝動に駆られるが、時間の都合上、持ち帰りセットを購入。ちょうど旧正月・テト用の3本セットがあったので、そちらを購入した。ジャスミンフラワーを煮沸時に投入するフラッグシップビールの「ジャスミンIPA」に、最近注目しているバレルエイジドも入っていた。バレルエイジドの波は日本だけではなくベトナムにも広がっていた。アジアで流行るか!?
今回訪れたブルワリーのビアバーでは、ベトナム特産の柑橘や農産物を副原料に使ったビールが飲めた。現地の素材で作るビールは、そこでしか飲めないはじめての味であるケースが多い。そういう出合いこそ、旅先で飲むクラフトビールに求めるところ。“旅クラフトビール”の醍醐味だろう。
旅の最後に訪れたスカイバーでもクラフトビールを発見した。「Barett CRAFT BEER(バレットクラフトビール)」というブルワリーのビールだ。6種類あった中から、「LEMONGRASS WEIZEN(レモングラスヴァイツェン)」を選ぶ。
メニュー表によると、こちらのブルワリーのビールでもっともフルーティーで風味豊かだとか。ヴァイツェンらしいバナナ感とレモングラスの風味で飲みやすかった。
思っていたよりも、ハノイでクラフトビールを飲む機会に恵まれた。それでも自分がたどり着けなかったお店があれば、タイ湖(西湖)周辺にあるブルワリーも気になるところ。そして、今回飲み忘れた「ビアホイ」もある。
旧市街を中心に動けば、全体に移動しやすく、1日でクラフトビール飲みのハシゴも容易だ。ビール好き、クラフトビール好きは十分楽しめるだろう。
それにしても、はじめて行ったベトナムは非常に楽しかった。バイクがわんさか行き交い、クラクションが鳴り響く。うるさいなぁと思いながら歩いていたけど、今はあの光景が恋しい。とはいえ、次はホイアン、ダナン、ホーチミンにも行ってみたいものだ。
文・撮影/編集部えびす