モデルライフ途中に新軽規格の変更
3代目サンバーは軽自動車規格の変更の間にあったモデルでもある。1976年1月施行の新軽自動車規格は、ボディサイズの大型化(全長3.00m→3.20m、全幅1.3m→1.40m)、エンジン排気量が360ccから550ccにアップというものだったが、サンバーについて富士重工は下記のとおり2段階に分けて新規格に対応させた。
・1976年2月:全長の延長&490ccに排気量アップ
・1977年5月:新規格に合わせた大型化されたボディ採用&544ccの水冷4サイクルエンジン搭載
それぞれ排気量に合わせて、「サンバー5」、「サンバー550」と呼ばれた。
3代目サンバーは画期的だった
3代目サンバーでは、軽商用バン&ワゴンで初の4WDが設定された(1980年)。1972年にレオーネエステートバンにパートタイム4WDを設定して、スバルといえば4WD、4WDといえばスバルというイメージを確立していたが、サンバーへの採用によりそのイメージは決定的となった。
これを歓迎する事業者は予想以上に多く、降雪地域を中心に農業従事者、土木作業者、デリバリー業者などの需要が大幅に拡大し、販売を大きく伸ばした。
赤帽とともに進化
4WDを設定するなど画期的な3代目サンバーだが、赤帽の存在は無視できない。赤帽とは全国赤帽軽自動車輸送協同組合連合会の通称で、軽貨物自動車での運送事業を全国的に展開。その赤帽が選んだのがサンバーだった。
赤帽は事業を拡大するにつれ、多くの荷物を積載し、高速道路異動も含め長距離を運転するようになり、その要求に合わせて富士重工は赤帽仕様のサンバーをラインナップ。
赤帽仕様のサンバーは、改良車ではなく国交省の型式を取得したモデルと言うのも特筆で、エンジンの専用チューニング、専用装備などが奢られていた。
赤帽の激務に耐える仕様、快適に業務を遂行するための装備などはすべて現場の声が反映された必要なもので多種多彩。赤帽専用4気筒EGIエンジン、パッド摩耗警報付フロントベンチレーテッドディスクブレーキ、収納式ハンドブレーキ、2段階開度リアゲート(パネルバン)、電源用ハーネス、高照度ルームランプ、専用デザイン&強化レザー表皮の専用シート、オーバーヘッドシャルフ、電動式リモコンドアロック、エアダム一体式フロントカラードバンパー、複合曲面ミラー&広角ミラー、デジタルツイントリップメーター、運転席側アームレスト一体式ドアポケット、専用装備のオンパレードだ。
営農サンバーも40年以上の歴史を誇る
スペシャルサンバーは赤帽だけじゃない。営農サンバー(現在のJAサンバー)も重要な一台。農作業に適した装備を充実させたモデルだ。営農サンバーが初めて登場したのは1981年だから、赤帽サンバーと同じ3代目の時だ。それから現在まで40年以上の歴史を誇り、カタログまで用意されている。
赤帽サンバーは走行性能、特にエンジンが強化されているのに対して営農サンバーは装備の充実がメイン。荷台のアルミブリッジ対応型アオリ・ゲートチェーン、折り畳み式鳥居ストッパー、ブロックタイヤ、座席やサスペンションの農作業に特化した仕様などがあり、モデルチェンジごとに独自の進化を遂げているのは赤帽と同じ。
ただ赤帽がサンバー独占だったのに対し、JA向けモデルはスズキキャリィ、日産クリッパーなども存在している。