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7代目からはダイハツハイゼットのOEM車

富士重工の軽自動車で最後まで残ったのはサンバーバン&トラックだったが、2012年2月29日に生産を終了し、富士重工の軽自動車生産は54年の歴史に幕を下ろした。サンバーの生産されていた群馬製作所本工場は、現在ではトヨタ86/スバルBRZが生産されている。

生産終了日の前日の2012年2月28日にサンバー生産終了の式典が開催された

富士重工オリジナルのサンバーは6代目で終了となったが、7代目からはダイハツハイゼットのOEM車となっている。

現行は8代目でトラックが2014年、バンが2022年に登場しているが、ハイゼットのOEM車となってからは、正直なところ熱狂的なスバリスト以外は、敢えてサンバーを選ぶ理由がなくなった。それにより存在感が失われたのが悲しい。

94歳の義理の祖父が新車で購入

最後にサンバーについて個人的な思い出を。前述の赤帽だが、大学のバレーボール部の合宿費用捻出のため、2週間の短期間だが赤帽でバイトしてサンバーをドライブ。クルマを持っていないけどクルマを運転したい筆者にとっては運転できてその上お金ももらえるということで最高だった。

もうひとつは私の妻の祖父(筆者の義理の祖父)の話。義理の祖父は香川県で建設会社を経営していたが、サンバーが普段のアシグルマ兼仕事用のクルマだった。周りから高級車などを進められても目もくれず、サンバーを愛し続けていたという。初代からモデルチェンジのたびに買い替えていたらしい。

その義理の祖父は94歳の時に6代目サンバーを新車で購入し、非常に喜び筆者にも自慢していたが、ほんの少しだけ乗って天命をまっとう。義理の祖父の終のクルマだったということも思い出だ。

筆者の義理の祖父の終のクルマとなった6代目サンバー

【6代目サンバートラック660TB三方開4WD  AT主要諸元】
全長3395×全幅1475×全高1815mm
ホイールベース:1885mm
車両重量:810kg
最大積載量:350kg
エンジン:658cc、水冷4サイクル直列4気筒SOHC
最高出力:48ps/6400rpm
最大トルク:5.9kgm/3200rpm
価格:92万7000円(AT)
※2008年生産モデル

【豆知識】
WRブルーリミテッドは2011年7月にバンとワゴンを合わせて1000台限定で販売された。実際に販売された台数はトラックが若干多い程度でほぼ同数だという。インプレッサWRCで有名になったブルーのボディカラーをモチーフとしたWRブルーが絶妙に似合っていた。業務用として使っている人は少数派で、購入者のほとんどは待ち乗り専門のようで、スバル系のイベントなどでは現在も何台か登場するなど大事に乗られている。今でも需要は高く、中古車も高値安定で、今後もその傾向は続くだろう。

WRカーをモチーフとしたWRブルーのカラーリングで大ヒット。バンとトラックで合計1000台が限定販売された

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/SUBARU、ベストカー

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