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お住まいの光熱費は?

天皇家の場合、お住まいの「御所」で使用する水道光熱費、電話代などは宮廷費(皇室の活動や皇室財産の維持管理等に必要な経費)から支払われる。一方、皇族方のお住まいである宮邸(みやてい)では、皇族費から支出される。他にも交通費の支払いひとつとっても、複雑な解釈によって行われているのが実情だ。御料牧場の肉類、乳製品、野菜などについても、天皇家は無償とされるが、宮家の方々は皇族費から支払い、購入されていると聞く。

宮家皇族の殿邸が建つ赤坂御用地は皇室用財産で、建物の費用や維持管理には宮廷費が充てられる。写真は1986(昭和61)年に竣工した高円宮邸=写真提供/日本地方新聞協会

天皇陛下も納税する

内廷費や皇族費は、毎年国から支出されるが、仮に余ったとしても国に返納する必要がないとされる。また、非課税であるため所得税が徴収されることもない。とはいえ、皇室のすべてが非課税という訳ではない。個人資産とみなされるものは、所得税の課税対象となる。たとえば、本の出版で得た印税や、団体等に所属して得た給与、株式などで得た利益などは、所得税の課税対象となるという。昭和天皇が亡くなられたときの個人資産は約20億円近くあったとされる。その内訳は、内廷費の余剰を貯めた金融資産が約18億円と、美術品等が約7000万円……など、諸々あったといわれた。これらは相続税の対象とされ、当時の香淳皇后と上皇陛下(当時は天皇陛下)のお二方が相続され、”上皇さまは約4億2800万円の相続税を麹町税務署(東京都千代田区)に納めた”と、当時話題になった。

かつての東宮御所内を散策される昭和天皇ご一家。左から、昭和天皇、上皇さま、香淳皇后、美智子さま、紀宮さま(現・黒田清子さん)、秋篠宮さま。当時、浩宮さまでいらした天皇陛下は英国・オックスフォード大学マートンカレッジに留学中だった=1984(昭和59)年、写真提供/日本地方新聞協会

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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