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DINKs層がターゲット

セフィーロがターゲットユーザーとしていたのは『美しさ・遊び心を大切にする30代前半の知的なヤングアダルト』というもの。ヤングアダルトって今では死語だが、なかでも日産が注目していたのがDINKs(←これも死語だぁ)。DINKsって言葉、懐かしい。今ではほとんど見たり聞いたりすることはないが、当時カウチポテト族とともに流行語にもなったほど。

1986年にアメリカから渡ってきたDINKsという言葉は、Double Income No Kidsの略語で、正確には共働きで意識的に子どもを作らないことを選択した夫婦の意味だが、当時は共働きで子どものいない夫婦全般を指していた。1980年代後半には日本でも流行語になるほどで、内閣府が1988年に発行した『国民生活白書昭和63年度』にも初掲載され、DINKs世帯の増加が指摘されている。筆者とは無縁だったので、実際に使ったことなどなかったと思う。

この角度から見るとビッグキャビンがよくわかる

新世代のセダンのデザイン

当時DINKs層はダブル収入ゆえ金銭的に余裕があり、子ども教育費などに使う必要がないので自分のためにお金が使えるので趣味的なモノにどん欲で、ファッションやオシャレにも敏感とった感じのイメージだったと思う。

ターゲットユーザーのニーズを満たすために初代セフィーロは、それまでの日産車にない新しいデザインテイストで登場。単なる箱型のセダンではなく、曲面、曲線を巧みに融合させていた。カッコいい、カッコ悪い、好き、嫌いは好みのため見た人によって変わるが、新しさという点では誰もが認めるところだった。ちなみに筆者はカッコ悪くはないがアクが強いなと感じていた。

薄いフロントマスクによりボンネットの低さが強調される

セフィーロのデザインの基になっているのは1987年の東京モーターショーで公開されたコンセプトカーのARC-X。ARC-Xは先進性が評価され1988年の『トリノ―ピエモンテ・カーデザインアォード』を受賞した話題作だった。発表時もARC-Xは単なるデザインコンセプトカーではなく現実味があると言われていたが、こんなに早く市販化されてビックリ。

初代セフィーロのデザインの基になったコンセプトカーのARC-X

デザインへのこだわり

初代セフィーロはARC-X譲りのビッグキャビンを採用。日産はFF(前輪駆動)のマキシマで室内スペースの確保のためにビッグキャビンデザインを採用していたが、初代セフィーロは日産のFR系で初。このビッグキャビンのお陰でフロントノーズの低さとハイデッキ調のリアが強調されスポーティ感を演出している。

最大の特徴はプロジェクターヘッドライト採用による薄いフロントマスク。日産はS13シルビアでプロジェクターヘッドライトを初採用していたが、セフィーロはその第2弾。片側2灯のプロジェクターに内側にイエローのフォグを組み込むことで片側丸3灯の独特のフロントマスクに仕上げられていた。個性的なフロントマスクはエレガントな佇まいとは対照的で、好みが分かれた点でもある。フロントグリルも独特なデザインで、スポーティな演出となっていて好きな人には刺さったみたい。

フォグランプを含め片側3灯で、ポジションを含めると片側4灯という斬新な顔
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この記事のライター

市原 信幸
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