夜 散策後の贅沢時間を約束する店が点在
『Le Marais(マレ)』 @浅草橋
定番も斬新もお任せ!間口の広いカジュアルフレンチ
浅草橋駅から徒歩2分の好立地にあるおしゃれなビストロ。驚かされたひと皿が「ホワイトアスパラガスのカルパッチョ」。1本丸ごとの提供が多いホワイトアスパラを薄くスライス。力強い味わいはそのままに、エシャロットと白バルサミコ酢の酸味のあるソースが風味を際立たせ、ウニの芳醇な旨みが余韻となって残る。
色々なフレンチ デリカテッセン盛り合わせ 2970円 +フォアグラのテリーヌ 440円 合計 3410円
シェフの創造性と技巧の凄さが垣間見られる逸品だ。盛り合わせでデリを少量ずつつまむもよし、ロッシーニなど王道フレンチを堪能するもよし。さまざまな楽しみ方を提案してくれる1軒だ。
[住所]東京都台東区浅草橋1-25-12 FAMビル1階
[電話]03-5829-8533
[営業時間]11時~23時、金・土11時~24時、日11時~22時(すべてランチは11時半~14時半) ※バーは金・土の21時~24時のみ
[休日]月・祝
[交通]JR総武線浅草橋駅西口から徒歩2分
『Goloso(ゴローゾ)』 @蔵前
素材の美味に心躍るシンプルイタリアン!
皿の上に、塩とオリーブオイルをかけたトマトとモッツァレラの塊がコロン。あまりのシンプルさに目を見張るが、食べて納得。余計なものがない真の旨さとは、まさにこのこと!
シェフのモットーは「いい素材をシンプルに」。もちろんそれだけではない。魚と野菜のグリルにフランボワーズ、モツのスープに島レモンの香りを添えるなど、意表を突く味わいにハッとさせられる。
6600円(フルコース)の一例 (奥から)水牛のモッツァレラチーズとおかトマト 愛媛県産の猪とウイキョウのヴェルミチェッリ 帯広産放牧飼育どろぶたのローストと久松農園のみさきキャベツ
肉の旨み、脂の甘味に感激するどろぶたのローストに至るまで、シェフの奏でるフルコースの調べに身を任せ、心ゆくまで味わいたい。
[住所]東京都台東区蔵前4-5-2
[電話]03-6873-4320
[営業時間]11時半~14時半(13時半LO)、17時半~24時(23時LO)
[休日]日
[交通]都営浅草線蔵前駅A1出口から徒歩3分、都営大江戸線蔵前駅A6出口から徒歩7分
『ビストロ ドゥーブル オーンズ』 @蔵前
ワイン好きの心をグッとつかむ楽しい趣向が一杯!
とにかくワクワクさせてくれる店である。「ワイン酒場の“アテ”盛り合わせ」を頼めば、一体何種類のっているの?とばかりに魅惑的なデリがてんこ盛り。
ワイン酒場の“アテ”盛り合わせ 2200円
まるで前衛アートのような「仔羊背肉のロースト」は、コンフィにピュレ、刺身のツマ状と、調理法の異なるニンジンが仔羊の脇を固め、炒めたザクザクのスパイスと相まって鮮烈な味わい。
メニューから想像する斜め上の料理が登場し、楽しいことこの上ない。何はともあれ、一度訪れて食べてほしい。そう言わずにはいられない、とっておきのビストロなのだ。
[交通]東京都台東区蔵前2-1-27
[電話]03-5809-3418
[営業時間]18時~22時(21時LO)、土・日・祝12時~15時、18時~22時(21時LO)※平日11時半~14時テイクアウトのランチボックス700円販売
[休日]月、第2火曜(祝日の場合は営業、翌日休)
[交通]都営浅草線蔵前駅A1出口から徒歩1分、都営大江戸線蔵前駅A6出口から徒歩5分
江戸時代、そして令和。両国を彩るふたつの料理に息を呑む
本記事2ページ目に“両国界隈は歴史スポットが満載”というコラムがありますが、そんな歴史スポットの中に絶対に見逃せないスポットがある。墨田区両国一丁目八番。ここに、江戸前握り鮨の創始者といわれる通称“華屋与兵衛”、本名・小泉与兵衛(初代/1799~1858)が店を構えていたのだ。
いわばここが江戸前鮨発祥の地である。その跡に墨田区教育委員会が立てた『与兵衛鮨発祥の地』の碑の説明を読めば“当時の狂歌にも「鯛平良目(ひらめ)いつも風味は与兵衛ずし買手は見世にまって折詰」などと人気のほどを……”といった説明がありまして、思わず鯛や平目の握りをつまんでみたくなる気分は大爆発するのである。
その気持ちのまんま、ふと目について駆け込んだ両国駅近くの寿司屋で食べた握りは、そりゃいつになく感慨深いものがありました。与兵衛鮨発祥の地を訪ねてからの即鮨!オススメである。
さて。両国といえば両国国技館、そして大相撲。となると両国で誰もが連想する食といえば“ちゃんこ鍋”だ。しかし、たまには目先を変えて、相撲界も席巻し続けるモンゴル力士に関連した食事も乙。ずばりモンゴル料理だ。
『モンゴル料理 ウランバートル』は、元小結・白馬関とそのお母様が営むお店。名物である羊の「骨付き塩茹で肉」は、モンゴル力士クラスの弩迫力!
湯気あがる肉塊にナイフを差し入れ、ダイナミックに切り分け頬張れば、おのずと沸き上がる金剛力!!モンゴルの奇跡の健康果実・チャツァルガンのサワーも、ごっつあんです!
『モンゴル料理 ウランバートル』 @両国
骨付き塩茹で肉 ハーフサイズ2600円
いい店選びの秘訣はテーマのブレ⁉
ライター松田「私は夜の店を担当したのですが、問屋街と駅周辺は飲み屋街というイメージの浅草橋。飲食店に限らず数年前からオシャレな店が集まり始めた蔵前。とにかく国技館!お相撲の街・両国。本当に下町生まれ?と言われてしまいそうな乏しいイメージしかなく……」
ライター市村「私は昼担当。数年前にこのエリアに引っ越して来た友人から『利便性の高さと安くて美味しい店の多さから、もうここから離れられない』と聞いていて、結構リサーチを楽しみにしていました」
松「担当の武内からは『和の情緒があるお店でまとめるのはどうか?』と言われていたんですが、歩いてみて気になるのはオシャレな店ばかり(笑)。しかも、リサーチするとどこも美味しくて。結局、和の情緒とは逆の、 オシャレな洋食で展開しました」
市「実際に歩いてみると、最初の印象と変わることも多いですもんね。昼の方は、最初から散策途中に立ち寄りたいモダンなカフェというテーマ。こちらはテーマがブレることなくリサーチできました(笑)」
松「うぅぅ…。でも、『マレ』はオシャレな上に開放感もあり、『ドゥーブルオーンズ』のアテ盛り合わせは、すいません……リサーチだというのにワインを1本空けてしまうほどの充実ぶり。『ゴローゾ』だけは、実は以前から行きたく思っていたコースが基本のお店。前菜、パスタ、メインと出てくるものがすべて、シンプル・イズ・ベスト。ずば抜けた素材と情熱あるシェフの力量が揃うとここまで美味しくなるの⁉︎と、どこも間違いなく美味しいです。ブレてよかった(笑)」
市「こっちも『シエロ イ リオ』はフレンチ出身のシェフが作る料理はもちろんサービスも心地よく、隅田川を一望できるテラス席もいい感じ。毎日ランチを食べに来る人がいるのも納得。浅草開化楼のカラヒグ麺を使う『レガート』もよかった。実は新日本フィルハーモニー交響楽団の方々などの演奏会もあるそうで、そちらも楽しみに行ってみたいですね」
松「隅田川という景観に、点在する歴史的なスポット。そのうえモダンに生まれ変わりつつ雰囲気も楽しくて、散策&グルメにはぴったりなエリアです」
撮影/小澤晶子(Riverside Cafe Cielo y Rio、両国イタリアンLEGATO、my Chai、en cafe)竹崎恵子(Le Marais)、小澤晶子(Golozo)、西崎進也(ビストロ ドゥーブル オーンズ)、取材/市村幸妙(Riverside Café Cielo y Rio、両国イタリアンLEGATO、my Chai、en cafe)、松田有美(Le Marais、Golozo、ビストロ ドゥーブル オーンズ)
※2022年7月号発売時点の情報です。
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