小説『バスを待つ男』などの著作がある作家の西村健さんは、路線バスをテーマにした作品の書き手としても知られています。西村さんが執筆する「おとなの週末Web」の好評連載「東京路線バスグルメ」の第6弾は、再び多摩川を越えて神奈川県に向かいます。前回シリーズは横浜を巡りましたが、今回は川崎。東海道本線の東側、日本の高度成長期を支えた京浜工業地帯の中核となる川崎臨海方面を中心に街の魅力を探ります。計3回の第2回は、「セメント通り」で見つけた焼肉屋の味を紹介します。
川崎の「コリアタウン」へ
川崎にも「コリアタウン」がある、と教えてくれたのはWebマガジンの担当編集者。そこには、通称「セメント通り」があって、焼肉屋が並び、あの人気漫画『孤独のグルメ』でも取り上げられたことがあるんだって。それは面白そう、と早速、行ってみる。
まずは第1回と同様、JR川崎駅前のバス・ターミナルへ。事前の調査で川崎市バスの「川17」系統などに乗ればいい、と見当をつけていた。行ってみると2つのロータリーの内、「空島」の方が乗り場らしい。前回は「海島」でしたからね。違う場所になっていいじゃん、と思って時刻表を見たら、本数が極端に少ない。これじゃ延々、駅前で待つことになってしまう。
慌ててスマホで調べ直すと、「臨港バス」の「川22」系統でも行けることが判明。前回も臨港バスだったから、今回は川崎市バス、と別なのに乗れるなぁと期待してたのに……。まぁしょうがありません。乗り場も「海島」に戻ることになってしまいました。
臨港バスの「四ツ角」で下車、セメント工場労働者の通勤路
バスはこれまた前回と同様、ロータリーを出ると駅を背にして大通りを走り出す。ただ、前回は「野球場裏」へと左折した交差点を、今回は折れることなく更に直進。ずっと道沿いに走って、「四ツ角」バス停で降車しました。川崎市バスだと「大島四ツ角」で降りるんだったなぁ、とよく見ると、停留所には2つの名前が併記してある。同じバス停なのに臨港バスと市バスとでは名前が違うらしい。区別する意味、ってあるのか知らん??
とにかく目的の「セメント通り」は、この直ぐ先を左に分岐する道らしい。呼び名の由来は、セメント工場の労働者の通勤路だったから、なんだって。コリアとは関係なかったようですね。