赤提灯は裏切らない
豪徳寺を歩いてるってえと、ちょいちょい気になるのが赤提灯。ふらりと覗きたくなる風情充分。思い切って暖簾を潜ってみれば……期待を裏切らないあったかさが待っていた。
まずはビル奥、ちょっと入りづらい『大勇』だが、入ってみれば焼鳥、やきとん、鮮魚に一品料理がリーズナブルに充実。聞けば開業以来50年、今は2代目が頑張る。いい店だ。
ズズッと世田谷線・宮の坂駅寄りで出合ったのが『龍宮亭』。まず名前がいいわけだが、中身もいい。まずはコレで飲みなよ、と大将が出す最初のつまみ、これだけで何杯もいける。常連さんがフレンドリーですっかり馴染む。そして宮下駅前の『おやこや』。名前通りお母さんと娘さんのふたりでやってる間口の狭い店だが、なんともあったかい空気感。ネギ入りの卵焼きも旨いでえ。いやあ、実にいい街だ。
回遊するようにハシゴも楽しい規模感
ほかにもコーヒースタンドやベーカリー、焼き芋屋さんや焼き菓子屋、などなど。小さなお店が多いのでお見逃しなく。
さて、お次は夜の部に突入。ちょっと路地に入ったり、看板もなくビルの2階にあったり、意外な場所にいい店が潜んでる。
まずは世田谷線山下駅前の路地にて『焼とりダービー』。若い大将が焼く長崎対馬地どりは、パツリと勢いがあって確かに旨い。まだわりと新しいがすでに地元で人気ってのも納得!
駅前から世田谷線の踏切をこえた見落としがちな場所にあるのが『ketoku』。ビストロのようでいて和洋の垣根を超えた居酒屋。ナチュラルワインもレモンサワーも似合う。肩の力が抜けた感じがくつろげるなあ。
そしてビル奥2階のアジトみたいな『きたの』は、知らぬと損な“ちょっといい”居酒屋。一手間かかったつまみは、その日の気分でどれを選んでも旨し。
等身大のエリアゆえか、横のつながりもあるといい、いろんな店が共存している雰囲気もいい。回遊するようにハシゴも楽しいのだ。豪徳寺いいじゃん!
撮影/小澤晶(sunya)、鵜澤昭彦、取材/池田一郎
※2022年3月号発売時点の情報です。
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