おいしさの秘密は「ご当地ソース」
その秘密は、さばのソース龍田に使われている「ビンゴソース」にある。たかのが販売するビンゴソースは、絶品ご当地ソースとして地元で大好評。
トマト、にんじん、玉ねぎ、リンゴなどに、スパイスをブレンドしたソースは、広島エリアのソースならではのちょっと甘め。でもスパイスがあとから華やかに香る。おもにカレーで使われるようなスパイスを使っているとのことで、「ほっこりスパイシー」。なんというか、とっても「おふくろ系ソース」。
「とくに、バツグンに魚に合うんです」と語るのは、たかの専務の高野憲治さん。ビンゴソースは学校給食でも採用されている。「お魚料理が6割残されていたのがビンゴソースを使ってからは9割の完食率になりました」と胸を張る高野さん。ビンゴソースは、お魚をバカうまにするソースなのだ。
そして、魚の中でも最高の相性だというのが「サバ」! それもそのはず、じつはビンゴソースはそもそも、サバのために作られたソースなのだ。
ビンゴソースのルーツは『御食事処たかの食堂』。昭和34年に憲治さんの祖母である江美子さんが創業した。
ときは高度成長期。食堂は造船工場の工員たちで大にぎわい。なかでも人気があったのが、江美子さんオリジナルのタレ、その名も「さばったれ」を使った「サバの竜田揚げ」。サバの味噌煮や塩焼きといった定番ではない、オリジナリティのある、メニューを作りたいと開発したのだそう。
秘伝のタレは一子相伝。調味料の配合は舌で受け継がれたものだったが、高野さんが家業に携わったことをきっかけにレシピ化。ビンゴソースとして販売することになった。
さらに、高野さんは、江美子さんが作っていたさばの竜田揚げを再現。お弁当にした「さば重」の販売をスタート。発売するなり大好評! 食堂時代の人気メニューは時を超えて、多くのファンをつかんだ。
さばのソース竜田は、厳選した脂乗りバツグンのノルウェーサバを使用。小麦粉をはたいて2度揚げする。「まず低温で火を通し、続いて高温で揚げてしっとりとやわらかく仕上げます」と高野さん。
続いて、ビンゴソースに漬け込み、1日寝かせて味をしみこませる。基本的に、江美子さん同様の作り方で仕上げる。
造船町の小さな食堂で誕生、全国へとはばたくさばのソース竜田を、いざ実食!