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師匠・神藤隆さんが目指していた理想のスープ

新横浜ラーメン博物館30周年企画「あの銘店をもう一度」のフィナーレを飾る「六角家」の出店は、最終的に期間限定の出店ではなく、「レギュラー店」としてラー博に復活してもらいました。今回の味のコンセプトは、袴田さんや「六角家戸塚店」の神藤誠さんらとも協議し、亡くなった神藤さんが目指していた“甘みのある理想のスープ”としました。

弟子の袴田さんの研究により「六角家」創業者の神藤さんが理想とした甘みのあるスープが復活した

そのうえで、出店時の屋号は、「六角家1994+」とし、神藤さんがラー博に出店した1994年当時の味を、その後の30年間の技術と経験により「進化(+)させた」という意味が込められています。

袴田さんによると、「六角家は店ごとに味が違いました。もちろんベースとなるレシピはあったのですが、神藤さんからは、“自分たちの個性を出しなさい”といつも言われていたためです。神藤さんが一番大事にされていたのは、骨のバランスと炊き方とタイミングです。この部分で、味は大きく変わります。神藤さんが理想としていたスープは、とんこつと醤油ダレのバランスが絶妙になり、スープに甘みが出ます。なかなか簡単にはいきません。私も一番そこを大事にしておりますが……」とのこと。

そこで袴田さんは、理想のスープをさらに進化させるため、既成概念を捨て、一から研究し直しました。炊き方に関しても、より理想に到達する方法として、寸胴ではなく、直径1・3メートル以上ある大釜でスープをとるように変えたのです。大釜を使うことにより、対流がよくなり、焦げ付きがなくなるようです。そして開口部が広いため、豚臭さもなくなり、神藤さんが目指していた理想のスープに近づけるようになったとのことです。

とんこつと醤油のバランスがとれた“クラシックタイプ”

袴田さんが考える「六角家らしさ」とは、旨みがしっかりありながら、とんこつと醤油のバランスがとれていること。いわく、「この20年で家系ラーメンは醤油感の強いタイプが主流となりました。この流れを決して否定しているわけではないのですが、私は20代の頃に初めて食べて衝撃を受けた、とんこつと醤油のバランスがとれた旨みの“クラシックタイプの家系ラーメン”が好きなんです。神藤さんもその味を追求されていましたので、私もその方向を極めようと、日々試行錯誤しております」。

ラー博出店当時の「六角家」店内=1994年

私もその考えに同感、しっくりきました。残念ながら、創業者の神藤さんが亡くなったことで、今回の味を食べていただくことは叶いませんでしたが、弟・誠さんらの協力を得て、「この味ならば……」ということで、「六角家」のお墨付き、つまりは承認をいただき、2024年4月8日から、ラー博のレギュラー店「横浜ラーメン 六角家1994+」として、スタートを切りました。

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神藤さんに見てもらいたかった六角家の復活...
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おとなの週末Web編集部
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