旧高島町駅の今
「2代目横浜駅」が近くにあった駅、と言われてピンとくる人は、地元の方か、”鉄分豊富”な方であろう。特に旧高島町駅は、東横線の中でも反町(たんまち)駅と並んで”地味”な駅であったといっても過言ではない。そんな高島町駅にも、輝かしい時代があった。
東横線の高島町駅が開業したのは、1928(昭和3)年5月28日にまでさかのぼる。このころは、まだ2代目横浜駅が「仮の駅舎(本来の駅舎は関東大震災で倒壊)」ながら、この地にあった時代である。そして、横浜駅が現在地へ移転するまでの“わずか139日間”は、省線(鉄道省/現JR)との乗り換え駅だった。このことは、あまり世に知られていない。
その後も、造船所への通勤客や、近くの桟橋から出ていた伊豆大島への定期航路などの玄関口として栄えた時代もあったが、造船所の閉鎖とともに乗降客は減少し、みなとみらい21地区の再開発では廃止が議論されるようになった。2004(平成16)年に惜しまれつつ廃止された。
廃止後、しばらくは高架上に屋根が取り払われたホームだけが遺されていたが、昨2024(令和6)年の秋ごろに、駅舎部分を含む高架橋の一部が解体され、ホーム跡もなくなってしまった。高島町駅から横浜駅へと続く旧東横線の鉄道高架橋も、主要地方道80号線(横浜駅根岸道路)と旧東横線が交差する浅山橋交差点(横浜市西区平沼)付近まで解体されており、現存しない。