「イモ科」は存在しない
ジャガイモ、サツマイモ、里芋などは、通常「いも類」などと分類され、近い種類の植物のように思われがちです。たしかに栄養学上はいずれも主成分はでん粉で、同じグループとみなして差し支えありません。ところが、ジャガイモは「ナス科」、サツマイモは「ヒルガオ科」、里芋は「サトイモ科」、山芋は「ヤマノイモ科」で、生物学的にはそれぞれまったく別のグループ(科)に属する植物です。そもそも分類学に「イモ科」という分類はありません。いも類は、いずれも根や地下茎が肥大したもので、見た目や成分が似ているために、似た植物のように感じられるだけです。
このことは、「レバー」(肝臓)を考えると分かりやすいでしょう。レバーには、牛のレバー、豚のレバー、鶏のレバーなどがあり、アンコウのような魚類のレバー(普通は「肝」(きも)と呼びます)もあります。しかし、牛、豚、鶏、アンコウはどれも違う生物種です。「いも類」という分類も、それと同じで、部位が近いために食べ物としては似ていますが、生物学上の分類ではないのです。